特集 秘密保護法|特集 憲法改正|特集 戦争の代償と歴史認識
今年7月に行われる国連の自由権規約委員会の日本審査を前に、4月22日(火)、日本の人権問題に取り組むNGOが共同で、事前の記者向けブリーフィングを行った。
- 自由権規約と日本政府の対応/日本審査に向けて:NGOの取り組み/注目される個別テーマ:秘密保護法、ヘイトスピーチ、「慰安婦」問題、袴田事件と日本の刑事司法
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
特定秘密保護法、国連人権規約19条に抵触の疑い
国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子氏は、ここ何年かの日本政府の特徴について、「開き直って、国連の勧告を実施しなくても良いという態度を鮮明にしている」と指摘。「昨年の拷問禁止委員会では、2008年に出された自由権規約と同じようなものなのに、この勧告には拘束力がないなどと、従う義務は無いという閣議決定をしている。国連の特別報告者が来日しても、個人の見解であり従わないと明確に言っている」と話し、日本政府が人権問題についてお粗末な態度を取り続けていることを紹介した。
自由人権協会の升味佐江子氏は、昨年12月の臨時国会で可決・成立した特定秘密保護法について、様々な問題点があると指摘する。公安情報の共有という理由で米国に情報が提供できるという条項があったり、戦前戦中の軍機保護法や治安維持法を想起させるような条項も含まれている。また、人権規約19条委員会意見「アクセス権は、市民の権利」に照らしても、特定秘密保護法は問題であると語った。
政府の持つ情報へのアクセス権の制約についても、「必要最低限でなければいけない。その制限についても法律で決めなければいけない。政府の自由裁量に任せてはいけない」と話し、特定秘密保護法は人権規約19条違反であることを強調した。
昨年5月21、22日に開かれた国連拷問禁止委員会の場では、日本政府を代表して出席した外務省の上田秀明人権人道大使(当時)が、「シャラップ!(だまれ!)」などと発言したことが波紋を呼んだ。今年7月に開かれる予定の自由権規約委員会は、日本政府が2008年10月以来の報告書審査を受けることになっており、特定秘密保護法やヘイトスピーチ、慰安婦問題、日本の刑事司法問題などに対する政府の見解が注目される。(IWJ・石川優)
■岩上安身によるインタビュー記事
- 2014/04/04 岩上安身による袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士インタビュー
- 【IWJブログ】南京大虐殺・従軍慰安婦を「なかった」ことにする歴史修正主義者の「嘘」を一次史料にもとづき徹底論破する~岩上安身による能川元一氏インタビュー第1部
- 2014/03/26 「一緒に食事会を」ヘイトスピーチ参加者へ呼び掛け~岩上安身による「のりこえねっと」辛淑玉氏インタビュー
- 2013/12/18 「秘密保護法は日本自ら批准した『国際人権条約』にも違反している」 ~岩上安身による藤田早苗氏(英エセックス大学人権センター講師)インタビュー
- 2013/07/17 「国連勧告を軽んじる行為は、国際社会に対する挑戦状」 アムネスティ・日本副理事長が、従軍慰安婦等に関する国連勧告を退けた日本政府を痛烈批判 ~岩上安身による新津久美子氏インタビュー
- 【IWJブログ】従軍慰安婦制度は「奴隷制度であり、 醜業条約違反であり、強制労働条約違反」~戸塚悦朗氏インタビュー
■関連記事
- 2013/12/14 「なぜ、憲法を改正しなくてはならないのか。国家中心主義が残っている証拠だ」奥平康弘氏 ~人権と報道を考えるシンポジウム「憲法改悪と〈知る権利〉」
- 2013/12/03 人権NGO団体ら秘密保護法に懸念表明「侵略、人権侵害、2度の大戦を経て発展した『国際人権法の原則』が崩壊する」
- 2013/10/08 日本の刑事手続きは「世界から孤立している」 ~取調べの可視化を求める院内集会で弁護士らが指摘
- 2013/07/01 緊急院内集会:国連勧告「従う義務なし」に異議あり!国際人権基準に背を向ける国・日本
- 2013/06/10 「民主主義と人権の停止」 自民党改憲案について、澤藤・梓澤両弁護士が危機感を示す ~自民党の憲法改正案についての鼎談 第12弾
- 2013/05/07 ヘイトスピーチで院内集会「『表現の自由』の国際基準、“他人の人権を侵害することは許されない”」 ~差別主義者・排外主義者によるデモに抗議する 第2回国会集会